結鈴 - むすびすず ー

世界的なコロナ禍により、感染予防の一環として鈴緒や鰐口紐を撤去する神社仏閣が増えました。
しかし、古来より「鈴振り」は神事において極めて重要な行いとされてきました。

平安時代の書物『古語拾遺(こごしゅうい)』には、
天照大御神が天の岩戸にお隠れになった際、天鈿女命(あめのうずめのみこと)が
鈴を付けた矛を持って舞い、神々の心を和ませ、再び光が戻るきっかけを作ったと記されています。

宮中でも、天皇陛下が天照大御神を御親拝される際
祭祀を司る女性「内掌典(ないしょうてん)」が御鈴を鳴らし奉仕する慣わしがあります。
このように「鈴振り」は、古来より神と人とをつなぐ神聖な所作として大切に受け継がれてきました。

また、もともと鈴緒を設置していない神社でも、
「持参した鈴で鈴を振らなければ神様に祈りが届かない」と伝えられる国宝指定の神社もあります。